散歩道<2117>
経済気象台(266)・政府系投資ファンド
米国の最大の金融グループであるシティグループにアブダビ首長国の政府系ファンドが約8千億円の出資を決めた。又中国の政府系ファンドも米国投資ファンドのブラックストングループに出資する見込みだ。ここへきて中東や中国、シンガポールの政府系ファンドの投資の動きが活発化している。加えてロシアやアフリカの産油国であるリビア、ナイジェリアなども、資源価格の上昇により増加している外貨準備の運用を政府系ファンドに委ねる動きを見せ始めている。これら政府系ファンドの規模は300兆円前後といわれ、ヘッジファンドの200兆円台を超えると見られる。これまで中央銀行の為替介入への抵抗や日本の一部金融機関への資本出資など、ヘッジファンドや民間投資ファンドの動きが話題になっていたが、最近では政府系ファンドが注目されている。特に新興国の政府系ファンドの投資対象は広がりを見せ、従来の主要国国債投資から収益力や先端的技術を持つ民間企業への投資に向かい始めた。一部には資本出資にとどまらず企業合併や買収にまで及んできているようだ。これらの投資資金がヘッジファンドのように為替や一般債権、商品相場へ流れこむ可能性もある。さすがにわが国の外貨準備の運用は米国債を中心とした運用で、投機的な運用はなされていないと確信している。資源価格が上昇するだけで外貨準備が増え続け、その資金が主要国の赤字を埋めている間は良かったが、民間企業買収や為替、商品相場に大量に流入すれば、一国の国益が流出して市場の混乱を来たす恐れが生じる。当然、各政府系ファンドの運用担当者の自覚を促す他ないだろうが、資金力のみで物事が動く異常な世界をつくりださぬよう、G7や各国中央銀行には世界の市場が正常に維持されるよう監視する役割りがますます重要となろう。
'07.12.8.朝日新聞