散歩道<2101>

                            経済気象台(257)・何を読み取るか

 サブプライムローンの問題が米国の経済、ひいては日本経済にどう影響するかに関心が集まっている。これをどう予測するかは大切だが、そこから何をどう読み取って自分の行動に生かすかはもっと重要だろう。今回のサブプライムローンの問題が示したのは、職業倫理において自利中心主義で奉仕対象への責任を見失うとどうなるのか、それを制御する全体への責任感や仕組みがないままに行動範囲を拡大すればどうなるのか、ということである。職業倫理の低下への警告と見れば、「赤福」を始めとする食品偽装の問題もつながって見える。サブプライムローンの問題を拡大したのは、それを組み込んだ債務担保証券(CDO)はリスク分散の仕組みが備わっているとして、実績を欠いたまま高い格付けが与えられた要因が大きいが、この格付けは誤りであることが判明する結果となった。この背景にはそのブランドを信じた格付け機関によるリスクの評価=格付けという肝心のところで責任を担う人たちが、信頼よりは自利を選んだ「ぶれ」があったと言えよう。付け機関の後悔は、市場に参加する投資家を奉仕対象とする中立性、公共性を行動原理の軸としなかったことだろう。信頼を落とした格付け会社がまだ格付けをし続けているのも、監査法人の場合と照らし合わせると納得がゆかないが、それは市場主義が元々その程度のものだということを示しているようにも映る。企業としては格付けや時価評価主義の下で市場にどう評価されるかに一喜一憂するよりは、奉仕対象を正しく見極めて、わが社だからこそできることに向かって、どう実体を充実するかの自己変革を続けることが本道だろう。これが企業の実体を等身大に評価するシステムを原点に戻って考え直す機会となるなら、それも意味のあることだろう。

'07.11.17.朝日新聞

備考:散歩道<2086>経済気象台(244)からサブライムローン問題を、継続的に取り上げています。