散歩道<2102>
経済気象台(258)・システミックスリスクの変容
サブプライムローン問題の発生後、欧米の証券化市場は機能を停止している。出発点は住宅価格の下落であった。これによって、変動金利型の住宅ローンの焦げ付きが増加した。その結果、証券化された住宅ローンの保有主体であるABCPのファンデイングが困難化し、バックアップラインを提供していた銀行の融資繰リが困難化した。銀行が流動性供給を絞ると証券化商品のマーケットメーカーは在庫保有が困難化し、売買両サイドの価格提示ができなくなる。裁定投資家にしても均衡価格への収斂(しゅれん)に賭けたポジションを持ち続けることができなくなる。その結果、価格がつきにくくなると投資家が市場から退出していく。市場流動性はこのような市場内部の相互作用によってさらに低下する。こうした動きが示すように、システミックスリスクの形態が近年大きく変化している。古典的なシステミックスリスクは預金取り付けに代表されるような資金の支払い不能の連鎖である。新しいタイプのシステミックスリスクも最終的には資金の不足が問題となるという点では同じであるが、市場で取引しようにも取引できなくなるのが大きな特色だ。価格についても、一体今の価格が幾らなのかが分らない。まさに、市場流動性が枯渇すると表現するのがふさわしい状況に陥る。古典的なシステミックスリスクであれば、銀行をモニターしていれば十分であった。発生原因も不動産貸し出しの焦げ付きに代表されるように信用リスクが中心であり、比較的分りやすかった。しかし、新しいタイプでは、資産価格の変動に伴う市場リスク、それに起因したカウンターパーティーリスクが重要となり、だれがロスを抱えているのか、誰が資金不足に陥っているのかも分りにくい。市場流動性の枯渇にどのように対応するかは、市場参加者と中央銀行にとって新しい課題である。'07.11.22.朝日新聞
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<195>1、公共工事(提案)・2、地震に耐える住宅輸出(提案)、<214>住宅価値向上が景気刺激、
備考:被害:シティバンク150億j(1兆6500億円)、メリルリンチ158億j(1兆6900億円)、JPモルガン34億j(3700億円)2008年1月18日
備考:被害:三菱UFJ 950, みずほ 3.950. 三井住友 990. りそな 0 中央三井トラス ト 2 住友信託 400. (サブプライム関連損失、億円、07度見通し)asahi sinnbunn 2008年2月1日
備考:この項目・散歩道<2086>気象台(244)から散歩道<2102>気象台(258)まで、サブライムローン問題を取り上げています。