散歩道<2100>
経済気象台(256)・お助けオプション
アメリカのサブプライムローン問題に始まる金融危機は90年代の日本不良債権問題をなぞらえるような展開になっている。なかでも問題発生当初、中央銀行の金融緩和を祈るような気持ちで待ち望み、中央銀行が抵抗すれば、あらゆる圧力を行使して実行させようとするところがそっくりだ。日本では、政治家、政府、財界が日銀包囲網を敷き、金融緩和を勝ち取った。すると今度は政府に圧力をかけて積極財政をとらせた。バブル拡大時にはカネを儲けるだけ儲けて、バブルがはじけると日銀、政府にたよる財界は、当時、お助け願望と、やゆされたものだ。アメリカにもこれと同じ言い回しがある。グリーンスパン・プットとかバーナンキ・プットと呼ばれるものがそれだ。オプション取引の一つであるプットを買っておくと、株式などの原資産の価格が一定価格以下に下落した場合、プットの売り手にこの一定価格で買い取らせる権利がある。これになぞらえて、株価が下がればFRBが金利を下げて、株価を回復させ助けてくれるという。願望がそう呼ばれる。この願望は、98年のヘッジファンドLTCMの破綻(はたん)や、00年のITバブル崩壊の際に、グリーンスパン議長がすばやく金利を引き下げて助けたことで、確信になった。今回バーナンキ議長は、2度にわたって金利を引き下げたので、市場はやっぱりバーナンキ・プットが助けてくれると安心し、株価は1時的に回復した。しかし長続きはしない。ファンダメンタルズの悪化は、金融緩和だけでは食い止められない。日本がお助け願望で空転したように、アメリカが お助けオプションに頼りすぎると、深みにはまる。損失の見積もりや責任の明確化が早いのはさすがアメリカだが、来年後半に回復という見通しは、かっての日本同様甘いのではないか。
'07.11.15・朝日新聞
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<195>1、公共工事(提案)・2、地震に耐える住宅輸出(提案)、<214>住宅価値向上が景気刺激、
備考:散歩道<2086>経済気象台(244)からサブライムローン問題を、継続的に取り上げています。