散歩道<2097>
経済気象台(253)・阿吽(あうん)の呼吸
米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げした。ウオール街やワシントンの友人たちの話を解析すると、米金融財政当局による一連の「サプライム」対策が、共和党哲学に忠実にオーケストラ化されている姿が見えてくる。サプライムローン破綻による景気減速の恐れと、原油高・ドル安によるインフレ懸念という二つのリスクに直面していたFRBは、追加利下げで景気減速を防ぐアクセルを踏んだ。この間、米大手3銀行がサプライム対策基金を設立したが、これはウオール街出身のポールソン財務長官らの肝いりで実現したといわれる。金融不安を回避したいが、米国民の税金を使ってまでも投機家たちを救済する気はないというホワイトハウスの空気の反映だ。また、米政府は表向き「強いドル堅持」という姿勢を崩していないが、このところのドル安についてポールソン長官をはじめ強い意思表示がない。ドル安で共和党の基盤である産業界の輸出が伸びていることもあるが、これも間接的にFRB利下げの援護射撃である。バーナンキFRB議長は議会で「ドル安は思案の外」と証言している。米財政、金融当局がそろってドル安を楽観視している理由の一つは、原油価格は別として、ドル安で値上がりするはずの輸入価格がそれほど上がっていない事情がある。対米輸出で景気を支えてきた中国など新興国、開発途上国は、ドル安で対米輸出価格が上昇して輸出が減り、国内経済に打撃を与えることを恐れ安値輸出で切り抜けようとしているからだ。とはいえ、追加利下げの際、FRBはドル安によるインフレのリスクも景気減速と同じくらいあると声明した。だから、よほどでなければ、再々利下げしない、と釘をさしたのだろう。国際金融市場にドル安の歯止めを発信したとも解釈できる。言えば、これも阿吽(あうん)の呼吸か。
'07.11.9.朝日新聞
備考:散歩道<2086>経済気象台(244)からサブライムローン問題を、継続的に取り上げています。