散歩道<2096>
経済気象台(252)・サプライム危機の残り火
米住宅融資「サプライムロ−ン」の焦げ付きに端を発した動揺はいまだ収まる気配がない。
FRBの大幅利下げにもかかわらず、金融市場では信用不安の懸念が残り、株価も不安定な動きを続けている。住宅市場の縮小は止まらず、住宅ローンの返済遅延や個人破産の申請が急増している。貸し出し基準の厳格化や金利上昇、返済負担のさらなる高まりから、個人消費や企業投資が減速し、リセッションに陥る可能性も否定できなくなっている。危機の本質は、金融機関の過剰貸し出しと家計の過剰負債、ファンドなどによる借り入れ・投資の膨張、その結果としてのバブル生成と崩壊である。 したがって、危機が終息するためには、借り手のバランスシート調整と、資金の出してたる金融機関の不良債権処理の進展がある。その間(少なくとも今後1〜2年)、米国経済はもちろん、その影響を受ける世界経済は減速を余儀なくされることだろう。 しかし、 サプライム危機の影響はそこで終りではない。 金融危機の後には、企業などが内部留保を積み上げる一方で、投資を抑制するケースがしばしば見られる。米国では、1980年代末〜90年代初めのS&L危機と信用収縮の後、日本では90年代終りの金融危機の後、企業は資金不足主体から資金余剰主体へと変わった。その背景には、グロ−バル競争の激化や不透明感の高まりもあっただろうが、信用収縮を経験し、資金を自前で確保する必要を痛感したこともあったと推測される。やはり金融危機を自らあるいは身近に経験したアジア諸国が必要以上の外貨準備を積み上げているのも、同じ理由であろう。だとすれば、たとえサプライム危機が沈静化したとしても、企業や家計は自己資金や貯蓄を積み上げて、投資を抑制するという行動を取るのではないか。その結果、世界の景気減速は長引くだろう。
'07.10.27.朝日新聞
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