散歩道<2087>
経済気象台(245)・深刻化するアジアの渋滞
2000年以来、アジアの新興国では、経済の功好調を背景に、自動車の年間新車販売台数が500万台、自動車保有台数が4千万台それぞれ増えた。これにオートバイの販売増1千万台分、保有増1億台分が加わったことで、車両が集中するアジア主要都市では、渋滞問題が深刻化している。単期間これだけの車両が増えたのだから、あるていどの渋滞はやむおう得ない。多くのアジアの主要都市では、公共交通網の整備が遅れていたし、車両の使用を前提に都市の道路交通網が整備されておらず、駐車場を備えたオフイスの開発も遅れているからだ。だからそれが原因ではない。タイやバンコクやインドネシアのジャカルタでは、市内に高架道路などの公共交通機関が整備されつつあるが、料金が高くて市民に敬遠され、期待したほどの効果が出ていない。政権が安定しないため、道路交通網のための継続的な大規模な投資が行われず、あちこちにある工事途中の現場が渋滞発生地点となっている。非効率な信号・交通管制システムや、工事の段取りの悪さが渋滞を悪化させている面もある。雨期に支線道路が冠水することも問題で、都市全体を見渡した道路整備が必要だ。信号無視や走行車線の無視などのルール違反も小回りが利くオートバイや、先を急ぐタクシーに多く見られる。渋滞がもたらす経済的・社会的損失が甚大であることはいうまでもない。渋滞時の排ガスはぜんそくや地球温暖化の原因となり、人生の生活を脅かす。日本政府や自動車業界は道路交通網の整備に必要なノウハウをアジアの新興国に提供してきた、だが、モータリゼーションの本格化が期待される今後は、ITS(高度道路交通システム)や渋滞時の燃料をよくするアイドルストップシステムといった先進技術の供与を含めた支援策の強化がもとめられる。
'07.10.11.朝日新聞