散歩道<2085>
経済気象台(243)・設備投資と競争力
現在、わが国では中小企業のみならず、大企業までが中国、韓国、台湾などの企業に追い上げられている。いくつかの要因があるが、製造業に関しては、設備の更新及び新規の設備投資がやりにくいため、設備増強で追い上げられているという面が無視できない。なぜか・・・・。日本企業の足を引っ張っているのが、税法で定められている原価償却の長さだ。生産設備の償却期間はおしなべて約10年と定められている、だが、他の国では一般的に5〜7年程度と聞いている。政府はようやく液晶やプラズマディスプレーなどハイテク設備は原価償却期間を短縮したが、他の生産設備についても国際水準に合致させるべきだ。さらに過去から現在に受け継ぐ資産の残存簿価の一括償却、研究開発用の設備投資に関しての償却期間の自由選択なども求めたい。IT化、デジタル化の進展で、経験やスキルの優位性があっても最新設備一つで簡単に超えられてしまうという厳しい現実に、日本のハイテク産業はもちろん、街の中小企業も直面している。償却期間の短縮は、毎年損金算入できる額が増えるので企業減税になるとして財務省の抵抗は強いだろう。しかし、生き残りに向けた企業のやる気を後押しするもので、厳密に言えば減税ではない。やる気の有無にかかわらず、一律に恩恵を受けられる法人税率の引き下げなどと一緒に同じ「減税」という枠でくくってほしくない。世界と競う国内の製造業にとって、最先端の設備の有無が、市場における勝敗の分かれ目になる。設備投資が遅れれば、やがて競争力をなくし、衰退するだけだ。さもなければ優秀な企業と人材は海外に流出してしまい、近い将来、さらに産業空洞化が進むだろう。来年度の税制改正に向け、時代の変化と国の将来像を見据えた議論を期待する。
'07.9.1.朝日新聞