散歩道<2080>
けいざいノート・民主主義による平和(3) (1)〜(4)続く
戦争防止の根拠として二つの理論が提唱されている。
ひとつは、公開の場での透明な政策決定という民主主義の特性が戦争を抑止するという「構造モデル」。独裁国家は何を考えているかはわからず、他国に疑心暗鬼を生んで、誤解や先制攻撃による戦争を誘発する。民主国家同士は、そうした疑心暗鬼に陥りにくい。その結果、交渉で紛争を解決できる、という説だ。
もうひとつは「模範モデル」。民主主義は、そもそも暴力を使わず、話し合いで問題を解決するという規範に基づく政治体制だ。この規範は、主に国内政治の規範だが、おなじ規範を有する国同士が暴力的な戦争をすれば、民主主義の自己否定いなる。だから民主国家同士は、戦争しないという理論だ。
しかし、強制的な民主化で民主主義を移植すれば、平和な国家になるかどうか。
現在のイラクの混乱はひどいし、第1次大戦後のドイツも、民主主義を移植されたが独裁国家に変質した。
ラセットは、表面的な民主化より、民主的な国民に共有されることが民主的平和の決定要因だとし、模範モデルに軍配をあげた。
それでも問題はある。まず国民が平和的な規範を持っているから民主性が定着するのか、それとも、まず民主制を導入すれば、平和的な規範が国民の中に定着するのか。 後者なら強制的な民主かも民主的平和を達成するのに有効だ、ということになるが、前者なら強制的民主化は意味がない、ということになる。
'07.11.24.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林慶一郎氏
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