散歩道<2071>

                       けいざいノート・ゲーデルの定理と金融(1)                      (1)〜(4)続く
                        サプライムの本質は  バブルが繰り返す必然

 今年の夏、米国で住宅価格が下落し、住宅を担保にした低所得者向けに住宅ローン(サブプライムローン)いわゆるが大量に焦げ付く事態となった。その結果、直接住宅ローンを貸し付けていたアメリカの金融会社だけでなく、ファンドなどを通じて資金供給していたヨーロッパの銀行も大きな損失を出した。日本でも株価が下落し、危機感が高まった8月末、金融業界誌の編集長が訪ねてきた。
 私が経済研究所のウエブ上で連載しているコラム「ちょっと気になる経済論文」をみて話を聞きにきたのだという。コラムは、金融商品の発展が経済を不安定化させるという論文を紹介したものだ。この考え方を使って、サブプライムローン問題を読み解いてほしい、という。
 金融商品とは、リスクを分散する手段だから、オプションなどのデリバティブ(金融派生商品)が増えれば、様々なタイプのリスクに対応する手段が増える。個人も企業も不測の事態に供えられる度合いが増す。その結果、当然、経済全体が安定化する、というのが経済学者の通念だ。
 この通念は多くの市場参加者にも共有されている。金融の発展は、途上国の金融危機やサブプライムローン問題のような動揺を一時的に引き起こすかもしれないが、究極的には経済の安定化に貢献している。そういう通念だ。

'07.11.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林慶一郎氏

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