散歩道<2072>

                       けいざいノート・ゲーデルの定理と金融(2)                      (1)〜(4)続く
                       サプライムの本質は  バブルが繰り返す必然

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しかし、この通念は素朴すぎるかもしれない。そう考えさせる経済論文が10年前に発表された(この論文を紹介したのが私のコラムだ)。
 その内容はこうだ。金融商品とは、何らかのリスクを分散することを意図して開発される。しかし新しい金融商品(たとえば株式などをあらかじめ決った価格で買う権利を商品化したオプション)ができると、市場参加者は「オプションを使うか、使わないか」とう新しい選択に直面する。オプシヨンが行使される時とされない時では、株価の動きが異なる。それによって生じる株価変動は、新たなリスクだ。つまり、新しい金融商品が生まれると、それを使うかどうか、という新しいリスクが生み出される。その結果、経済が不安定化する。
 「リスクに対処するための金融商品自身が新たなリスクになる」とう論文のロジックは、数学や論理学の世界で有名な「ゲーデルの不完全性定理」と関係しているのではないかと私は考えてきた。

'07.11.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林慶一郎氏