散歩道<2034>
経済気象台(237)・貿易係数で見る競争力
団塊世代の定年、少子高齢化、グロバル競争下の所得の伸び悩みで個人消費は低迷し設備投資にも息切れが出ていた。かかる中にあって戦後最長の経済成長を支えているのが輸出である。わが国の輸出はデジタル製品・部品の価格低下から今春まで鈍化傾向にあったが、5月から8月までほぼ2けたの高い伸びを支えたのが全輸出額の70%を占める機械と9%の化学製品、5%の鉄鋼だ。輸出の増加は、製品の海外需要の大きさと国際競争力の強さで決るが、後者は輸出額マイナス輸入額を輸出入総額で割った貿易特化係数で測ることができ、1に近ければ国際競争力が強いと見なせる。ここ半年で見ると、先の主要3製品では鉄鋼が0.6と最も高く、機械の0.5化学製品の0.2と続いている。機械の内容を見ると、競争力の強弱が鮮明になってくる。0.7以上と競争力が極めて強いのが自動車、船舶、建設機械、工作機械、発電機、産業用ロボット、さらには自動車部品、運搬機械、半導体製造装置、繊維機械、エンジン、フォークリフトである。産業間・企業内での強い連携や多くの優れた技術・ノウハウで生産され、顧客サービスの蓄積がモノを言う製品は強い競争力がある。一方、貿易特化係数がマイナスとなっているのがパソコン、携帯電話、ラジオ、テレビ、時計、さらに冷蔵庫、電子レンジといった家庭用電気機器で、部品と人手があれば組み立てられる製品は競争力を失いつつある。貿易でみる国際競争力はあくまで日本に生産拠点を置く産業の国際競争力であり、グローバルに生産を展開する企業の国際競争力とは異なるが、輸出が伸びなければ国内生産や設備投資が高まらない。海外直接投資による所得や利益の回収も重要だが、わが国の経済成長や雇用を確保するためには強い輸出産業を育成していく必要がある。