散歩道<2033>

                                経済気象台(236)・悲しくて悔しい

 国土交通省がまとめた7月1日時点の基準地価は、今や大きく反転上昇している3大都市圏に対して、なお下げ止まらない地方圏という形でわが国の構造問題を改めて浮き彫りにした。人口流出、高齢化、財政難による公共サービスの低下、地場企業の倒産、そして人口の流出。地方はまさに過疎化スパイラル状況である。当然、地価は下落しつづける。戦後一貫して、政府は「国土の均衡ある発展」を揚げて道路、新幹線、空港、港湾、橋などを国の津々浦々にまでつくってきた。農業の発展と農業従事者の地位向上のためと「農業構造改善事業」や「土地改良事業」などとして多くの金を投下してきた。だがそれらは地方や農村の発展にはつながらなかった。むしろ財政は逼迫し過疎化は進んだ。この結果をもたらしたのは国の中央集権縦割り行政である。この仕組みは、都市、地方を含む国家のありよう全体を有機的に捉(とら)えつつある政策を立案するというようなことはできない。地方の問題について国家そのもののあり方の問題だと捉えることができないのである。その行政構造を放置し続けたのは政治の責任である。だが政治家はことの重大性と本質を理解していない。だからこれらの問題について構造改革の光りと影、格差拡大などという捕らえ方しかできない。その極めつきが、改革のスピードに地方がついてこれない。などという発言である。今や多くの地方、農村が廃墟に向かって歩を進めていると言っても過言ではない。ローカル鉄道の廃止に加えて航空の地方路線も縮小された。郵便局も早晩姿を消すだろう。学校は既に統合閉鎖された。死語に近かった「無医村」という言葉も再び現実のものとなってきた。農村は高齢者ばかり、「三ちゃん農業」すら瀕死の状況である。かかる地方の実情とわが国政治の現実は国民の一人としてあまりにも悲しく悔しい。

'07.9.27.朝日新聞