散歩道<203>

                           ねじ曲げられた桜(身近な美意識・国家が利用)
                                   
、古代において桜は米と共にをいくつも共同体にとって大事な生産力を象徴していた。生殖と結びつく花見は宗教的な側面もあった。平安末期の頃から散る花に死や無常のイメージが重なりあった、能や歌舞伎では既存の範囲からはみ出した狂気や異世界も象徴した。生と死をはじめ相反する意味持った複雑な花だ。

2、日本人にとって身近な桜、それを国家が利用して「祖国や天皇のために散る」ことを求められた時代があった。とりわけ多義的な意味を持つ桜の解釈のヅレが軍国主義の美化に使われた。明治政府は急激な近代化と伝統の継続性を重ねるため、桜を活用した、農家の若者を徴兵した軍隊では帝国海軍・記章は「錨と桜」、帝国陸軍・「星と桜」を組み合わせた。菊や桐は天皇、旭日は国家、桜の花とつぼみは兵士と対応するようになった。散る桜は戦死を意味することになり靖国神社に桜が植えられた。「貴様と俺とは同期の桜・・・・・見事散ります国のため」という「同期の桜」は、海軍で42年から歌われた。太平洋戦争末期44年10月から実行された特攻作戦の神風特攻隊の最初の9部隊は桜にちなんだ名前を付けた、偽政者だけではない武士道で大和魂を桜花になぞらえ軍国主義の台頭に抵抗したはずの人も情緒的な象徴に弱かった、それが時勢への妥協になったのではないか。
 4人の特攻隊員
でマルクス主義者やキリスト信者もいたが教養もあり進歩的な学徒も散る桜という意識は浸透していた。明治維新以降の劇的な社会変化が桜によって隠された。美意識などの感情は人間を動かすのに強く働くが半分は無意識だから抵抗しにくい、行動では国家イデオロギーを再生産しながら思考では気づかない、美化されると問題が直視しにくくなるのです。米国では「カミカゼ」という無教養な狂信主義者、理解不可能な日本人という捕らえ方が強い、それが原爆使用にもつながった
 日記や読書リストをあげることで多様な考え方の人間であることを伝えたかった、日本の桜にあたる象徴は英国ではバラの花、米国では全州に共通する星条旗がそれにあたると思います、ナシオナリズムと結びついて人々を駆り立てる象徴の恐ろしさ、それを自覚してほしいと言う願いが根底にある。

15.6.12朝日新聞・大貫恵美子様

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