散歩道<2020>

                           けいざいノート・広がる賃金格差(4)                 (1)〜(4)続く
                     情報化の進展が影響か  新技術に沿う教育改革を

 ただ、長期的には、教育システムなどの社会制度を新しい技術体系に沿ったものに変えていくことが、永続的な格差是正効果を持つのではないだろうか。例えば、19世紀から20世紀にかけて産業化が進んだ時代、製造業に適した教育システムが整うと、産業化社会に必要とされる技能(読み書きソロバンや集団行動)を誰でも身につけられるようになり、所得格差が縮小した面があると考えられる。
 新しい技術体系に移行する過度期には、ごく一部の人が利益を得て格差が拡大するが、技術体系が普及して標準化すれば、普通の人々の所得が上昇する局面が来る。その助けになるのは、多くの人々が受ける初等中等教育の内容が新しい技術体系のニーズに適した内容に変わることだ。
 しかし、どんな技能がこれからの情報社会に適しているのか、まだわからないことも多い。それは19世紀に、20世紀の大量生産・大量消費型の製造業社会が予想できなかったの同じだ。
 今後の情報化の進展を注意深く観察し、情報化社会で成功した人や企業の行動パターンから学んで、新しい教育システムを構想していくことが必要なのではないか。

'07.9.29朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林慶一郎氏