散歩道<2003>
耕論・宰相の条件(5) (1)〜(5)続く
セレブでは務まらない 説明責任英雄でも必要 小泉さん、後継作り失敗 押しのけてのし上がれ
御厨 それが本当の意味での説明責任ですね。安倍さんの説明は、説明になっていなかった。「私じゃなくて、そちらがやることでしょう」などと非常に傍観的で、誰に向かってしゃべっているのかわからなかった。辞任会見のとき、国民に対して申し訳ないということが一言もなかったのが典型的。あの言語スタイルがいかにダメかを顕彰すべきだ。
・・・・・官邸主導が進む中で、首相を支えるシステムも構築されていません。
御厨 安倍さんは「おともだち」を補佐官にして組織を変えようとしたが失敗した。今も代替システムはないので、仮に福田さんが新首相になれば派閥の力を使うしかない。そうなれば官僚や族議員が生き返ってくるでしょう。
浜 支えるシステムと支えられる人との緊張関係をどうコントールし、「支えさせる」システムに作り替えていけるかが試金石です。潜在的には敵であるかもしれない官僚や、自分を利用しようと思う業界団体の力も含め大局観のために使いこなしていくのが、宰相というものなのではないか。
・・・・宰相の器を見極めるためには、どのような「身体検査」が必要だと思いますか。
御厨 佐藤首相は田中角栄を通産相、福田赳夫を外相にして鍛えた。歴代の首相は後継といわれる人を大臣にして汗をかかせ、時には自分を守るためにけ落とすことまでした。その中で、後継者は最後に上を押しのけて総理になるというのがふつうだった。
浜 宰相になるための最大のテストはけんかに勝つということ。後継者として育まれるような立場に甘んじる人は、宰相になれないのではないか。育成という発想自体、宰相の資質を殺していくのではないかという気がします。
'07.9.16.朝日新聞・東京大学教授・御厨 貴(みくりやたかし)さん・同志社大教授・浜 矩子(のりこ)さん
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