散歩道<2000>

                                 耕論・宰相の条件(2)                 (1)(5)続く  
         
御厨 かっては誰が後継者になるか、ある程度まで予測できた。「三角大福中」とか「安竹宮」とか。だが、細川政権の時に野党になった自民党は、常に与党でなければいけないと骨身にしみた。その後の総裁候補は、選挙に勝てるかという基準だけで選ばれるようになった。・・・・欧州では? 浜 二大政党制の発祥地である英国では、長期政権になると「日本みたいになってしまう」として、政権担当者自身が不安になるという。サッチャー、メージャーと保守的政権が続いたときに「次が労働党のブレアになれば日本化を免れる」と言っていた。そういう不安を自他ともに持つことで、まともな政治状況を作り出しています。
御厨 
日本の政治家には権力は腐敗するという意識がない。長くやれればいいし、ダメなら2年くらいでたらい回しという発想だ。今回の総裁選は麻生太郎さんと福田康夫さんの一騎打ちだが、福田さんに雪崩れ現象が起きているのは、かっての自民党がいいと思っている派閥の領袖
(りょうしゅう)たちが、小泉さんのように個性のある主張に振り回されるのがイヤになり、没個性の福田さんなら、自分たちの主張を押し込めることが出来ると思っているからだ。
 リーダーは自分がどういう主張をしている人間かをさらけ出し、それが問われる。シエークスピアの芝居にコリオレイナスというローマ時代の大英雄が出てきます。戦争に連戦連勝した人なので「議員になってほしい」と推された。彼は、市民の前で非常に腰を低くして、自分はこういう人間で、みなさんのためにこういうことをしようと思っている、という姿を示した。英雄であることだけでは議員に就くことを許されなかったからです。チャーチル元英首相は大戦の大英雄だったが、説明責任を果たせず、戦後の選挙で敗北した。英雄でさえ説明責任が問われる。

'07.9.16.朝日新聞・東京大学教授・御厨 貴(みくりやたかし)さん・同志社大教授・浜 矩子(のりこ)さん

関連記事:散歩道<1987>安倍政権の崩壊(1)〜(2)、<1990>私の視点・自民党総裁選(1)〜(4)            

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