散歩道<2001>
耕論・宰相の条件(3) (1)〜(5)続く
セレブでは務まらない 説明責任英雄でも必要 小泉さん、後継作り失敗 押しのけてのし上がれ
世襲脱するには
・・・・総裁候補の世襲ぶりも今回また目立っています。
御厨 明治維新の元勲は政権たらい回ししたが、子供を首相にしようとはしなかった。政治は一代の仕事だという気持ちがあったからだ。だが戦後は、自分の子供が一番安心できるからと安易に後援会を継がせるようになった。周りも総理の子なら見識があると評価する。これでは縮小再生産になる一方だ。
浜 安倍さんはイノベーションやオープンといった横文字や、国際競争力、生産性、効率といった言葉が好きだったが、そんな言葉から最も遠いのが、自民党を軸にする戦後の日本の政治体制でした。政治は人のためにやることなんだと考えていれば、家を守るために世襲というはずがない。
御厨 政治が家業になっている。自分のうちの商売だと思っているんです。
・・・・・政治のリーダーをどのように育成すればいいのでしょう。公募などの動きは希望の芽となりますか。
浜 公募は家業型の既存政党が生存の危機に瀕して、今の形を温存したいからやっているのでしょう。新しい血が入らないよりはいいが、チマチマと入っていくのでは限界があるし、取り込まれる恐れがある。新しい力はNGOやNPOなど既存の政治から離れたところからしか生まれないのではないか。日本では「自民党面(ずら)」「公明党面(ずら)」のように顔で所属政党まで分かるし、外からリクルートされた人もすぐに同じような顔つきになっていく。英国の政治家にこうした特徴はありません。ルクセンブルグやベルギー、オランダ、といった欧州の小さな国でも、市民が日常性の中で政治を形成している。日本はなぜ、普通の価値観や知性、常識を持った人が政治家にならないのでしょうか。
御厨 家業型政治の力は強く蜜は甘い。「この訓練を受けなければ偉くなれないぞ」と言われると、外部から来た人材もなびいてしまい、やがて中の人になってしまう。既存政党が自発的に政治の構造を変えていけるとは思えない。相当な強制力が必要だ。
'07.9.16.朝日新聞・東京大学教授・御厨 貴(みくりやたかし)さん・同志社大教授・浜 矩子(のりこ)さん
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