散歩道<1992>
私の視点・自民総裁選(3)・「説得型政治」へ転換できるか (1)〜(4)続く
新しい総裁に「選挙の顔」としての「国民的な人気」が欠けているなら、うまくいかないだろう。だが、イメージ先行型の人気がうつろいやすいことは、安倍さんの例が示している。新総裁にとっては、地道に仕事をし、実績を重ね、支持を厚くしていくのが常道である。
ただし、まだ難問が控えている。
古い談合型の派閥政治が復活したかに見えれば、必ず有権者のしっぺ返しを食うだろう。強いリーダーシップを発揮しつつも、個人プレーではない。「説得型の政治」で幅広い合意を形成して政権を運営できるかがカギになる。
最近の日本の政界は、強力なリーダーシップのモデルを米大統領型の権力に求める傾向がある。
しかし、憲法上、議会と対立しやすい構造になっている大統領は、実はさほど強くない。そこが、日本では誤解されている。
米大統領は、絶えず議会や様々な圧力団体、国民を説得するところにパワーの源泉がある。これに失敗すれば、最近のブッシュ大統領のように、強いリーダーシップは発揮出きない。
政治は説得を通じた「妥協の産物」だ。日本でも昔の米国でも、この説得、妥協が国民に見えない舞台裏で行われがちだ。
'07.9.17.朝日新聞・米コロンビア大教授・ジェラルド・カーティス氏