散歩道<1983>

                       経済気象台(231)米国が日本から学ぶこと   

 米国はサブプライムローン*1問題は、当初の楽観的な予想を裏切り、信用不安、融機関の収益悪化、雇用の減少や個人消費の減速へと、深く大きな広がりを見せている。市場はFRB の利下げに期待を寄せているが、それがどれくらいゆうこうなのか、本当のところはだれにも分らない。それを考えるよすがとなるのが、バブル崩壊後の日本の経験である。「日本経済は新たな成長局面を迎えた」という楽観論を背景に、企業は借り入れを増やし、不動産などへの投資を拡大した。超低金利と銀行貸し出しの積極化、財政支出の増加が、バブルを後押しした。そしてバブルが終わった時、残されたのは過大な設備や価値が急落した資産、過剰な負債、その裏返しとしての銀行不良債権の山だった。企業や銀行の財務体質悪化は、信用不安を引き起こした。政府は景気対策によって景気の底割れを防ぎ、日銀は金利や量的緩和によってf今日とデフレからの脱出を図ろうとした。しかし実際に景気を回復させたのは、バブルの負の遺産ともいうべき過剰な設備・債務・雇用を、企業が自らの努力で削減したことだった。今の米国は、企業と家計の違いを除けば、当時の日本と極めてよく似ている。低金利の長期化が住宅バブルを生み、膨張した資産と負債が消費と景気を押し上げた。市場には、経済成長がさらに続くという楽観論と、ショックへの抵抗力、特に金融性政策にたいする信頼感が過度に強まった。しかし住宅バブルがしぼんだ今、家計は資産価値の下落と過剰債務に直面し、金融機関は収益の悪化におびえている。そして金融市場では、信用不安が収まらない。日本の経験に照らせば、その悪循環を最終的に止めるのは利下げではなく、家計の バランスシート調整である。だとすれば、米国経済の低迷がすぐ終わるとは思えない。

'07.9.14.朝日新聞

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