散歩道<1981>

                        経済気象台(229)・信用不安の行方

 世界の金融資本市場を信用不安が襲っている。米国サブプライムローンの劣化に端を発した市場の動揺は、同ローンを組み荒れた金融商品の価格下落、ヘッジファンドの損失、株価など大きな広がりを見せている。不安が広がる理由の一つに、証券化やデリバティブが分散され、どこにどれくらいのリスクがあるか把握できないことがある。実際、米国内の問題であるサブプライムローンの信用劣化が突然フランスのヘッジファンドの経営悪化や日本の円高となって噴出している。だから、この問題がどこまで深刻化するか見えない、と関係者は嘆く。しかし、これまで起きた金融危機を振り返ると、方向が見えてくる。米国の大恐慌(1930年代)から日本の証券不況(65年)、日本のバブル(80年代後半)、アジア金融危機(97年)、米国LTCM破綻(98年)に至るまで、債務の膨張が支えた資産価格の上昇、すなわちバランスシートの両建てでの膨張が限界を超えてはじけた時に、金融危機は起きた。資産価格が急落する一方で債務は残り、それが不良債権となって金融システム全体に波及し、信用収縮と金融危機の連鎖を引き起こして、経済をスパイラル的な悪化に追い込んだ。一方、資産の拡大が自己資金=手金によるものならば投資家が大損し投資や消費が控えられたところで経済の収縮はとまり、それ以上波及はしない。では今回はどうか。見渡せば、金貸しは世界中にいた。住宅モーゲージ*2をせっせと貸した米国の金融機関、ヘッジファンドに資金を融資した欧米の銀行、超低金利の円資金による海外投資(キャリートレード)を結果的に促した日銀、そして人民元の上昇を抑えるために国内に資金を出し続ける中国政府・・・・。だから、今回の動揺がすぐに収まるとは思えない。

'07.8.29.朝日新聞

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