散歩道<1980>
経済気象台(228)・後の雁が先になる
最近はワシントンやウオール街の友人と日本の政局話をすることがトンとなくなった。安部改造内閣について言えば、参院で与野党勢力が逆転したとはいえ、超金利政策、円安維持、中途半端な財政再建策など迫力のない経済政策がそう変わるとは思えないと見ていることもある。しかし、こうした対日政治的無関心は、国際経済が政治的アクター(行為者)の調整を必要としないほど、シンクロしてきたのか、あるいは日米経済関係でのアメリカ離れ、日本離れといった経済的アクターの国際的関心がずれはじめてきたのか、という二つの方向を示唆するものだ。米国は、軍事面では唯一の超大国だが、、経済大国としての求心力は弱まっている。「後の雁(がん)が先になる」で、21世紀にはいって、中、印、東南アジア、ブラジルなど新興国が台頭し、米、日、EUの先進経済による世界経済の3極支配も揺らいでいる。だから、新興各国のアメリカ離れが加速している気配も見られる。対中、対印貿易が伸びはじめ、ASEANも域内経済の活発化が進んでいる。アジア域内金融を受け持つ香港国際金融界のプレゼンスも高まっている。米経済がくしゃみをしても、アジア経済は風邪を引かない、という為政者の強気発言もメディアで見受ける。米国発の「サブプライム*1危機」はアジア諸国の金融市場にも波及して打撃を被った。だから、アジア経済は対米貿易など米経済と一連托生だ(いちれんたくしよう)だ、とも見える。しかし、今回の金融危機はアメリカの金融制度、金融市場の脆弱性を(ぜいじゃく)表面化させたのだから、危機感を覚えたアジア諸国のアメリカ離れを助長させるという仮設も成り立つ。グローバリゼーションで求心力と遠心力が綱引きをしている段階といえよう。こうした構図では全方位の展望が必要だが、日米そろっての政治力の貧困が気掛かりである。
'07.9.12.朝日新聞
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