散歩道<1978>

                        世界を読む・グローバル化(4)・矛盾している二つの悪夢               (1)〜(4)続く

 米国では2008年に新大統領と新しい議会を選出しなくてはならない。だから、保護主義を求める声や、中国の「不正競争」や工場の海外移転を進める企業への強い規制を望む声は、米国選挙の安芝居には必ず登場する。経済は好調なのに、近年所得が伸びない人びとがたくさんいるので、みんなが来年は保護主義の強い選挙戦をよそうしている。
 さてところが、米国自身の不動産市場に端を発する金融 市場の混乱は、二つの悪夢の同時発生を心配させている。政治家は、中国労働者が米国人の仕事を奪っていると主張しては中国資本の自由な金融市場への出入りを嘆くだろう。他国の政治家も同じ考えを持つかもしれない。

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 原則として、二つの悪夢は矛盾している。市場が結びついているからみんなが苦しむとしたら、米国人の雇用についての圧力はその過程で緩和され、悪化しない。同時に中国からの投資も、拒絶せず勧誘した方がいいのだ。でも一般的に選挙キャンペーンや政治演説では、論理と合理性は最良の効果をもたらせない。
 貿易が雇用を奪うという非難を止めることはできないだろう。しかし、グローバル化を本当に損なう反動を避けるために、私たちは解放された資本市場の恩恵を精力的に推進する必要がある。ここしばらく、グローバル化が安定をもたらしているようにみえる限り。


'07.9.3.朝日新聞・ビル・エモット

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