散歩道<1972>
9・11テロと米社会・6年後の苦悩と模索(3) (1)〜(3)続く
同時多発・9・11事件・7年目
亀裂修復に向かって
米国が払った犠牲は、兵士たちの命だけではない。米国が世界に誇ってきたソフトパワーも大きく傷ついた。確かな根拠もないのに「大量破壊壁の脅威」を言いつのった情報力のいい加減さ。アフガンやイラクで捕らえた多数の「テロ容疑者」に対する拷問や長期監禁などの人権侵害の数々。米国内での市民への盗聴・・・。「自由と民主主義、人権のチャンピオン」を自負する米国のイメージと影響力が損なわれたことに、米国民自身が失望している。久しぶりにビンラディン容疑者の姿をビデオ映像で目にした国民は、この6年間がもたらしたはかりしれないツケを思い、失ったものの重さを肌身に感じたに違いない。米国民に同情し、アフガニスタン攻撃に同調した国際社会もまた、痛手を受けた。米国の対イラク政策を批判し、単独行動主義を冷ややかにみてきたものの、テロとの戦いが米国だけのものでないことは明白だからだ。戦列をもう一度、組み立て直そうという兆しが見えないわけではない。イラクについてマヒ同然だった国連安全保障理事会は先月、イラクでの国連の役割りを強化する決議を全会一致で採択した。イラク開戦に反対したフランスの新外相は、バグダットを訪れて和解に向けての関与を表明した。どちらもまだ象徴的な動きではあるが。米社会の亀裂の方は、これからどう修復されていくのか。大統領選挙に向け、その模索が始まっている。
'07.9.9・朝日新聞
関連記事:散歩道:<64>新世紀の1年目・日本の出番だ、<152>1年目・同時多発テロ、<202>アメリカは何が問題か、<364>9・11事件・3年目(1)〜(2)、<627>9・11事件後のテロと世界(1)〜(3)、<652>9・11への転換(1)〜(2)、<1640>イラク4年目過ちから何を学ぶか(1)〜(2)、<1233>9・11事件・5年目、<検索>戦争・テロ、