散歩道<1952>
経済気象台(217)・親の甘茶が毒になる
米住宅融資「サブプライムローン*1」の焦げ付きは世界的な信用収縮、株価の連鎖的乱高下、各国為替相場の急変と国際金融市場に激動を広げている。世界的な過剰流動性(かね余り現象)が、国際金融の姿をいびつにしているこの大混乱のなかで、見逃してはならないのは中央銀行の役割りも変質しつつあることだ。日銀やFRB(米連邦準備制度理事会)など各国中央銀行は、金融政策を通じて通貨価値の安定を図る「通貨の万人」であり、市中銀行に資金を貸し出す最後の命綱「銀行の銀行」という役割りを果たしている。今回の金融市場の動揺では、流動性確保のため FRBが590億ドル(約6兆8千億円)、ECB(欧州中央銀行)は2100億ユーロ(約33兆円)を金融市場に緊急供給したといわれ、日銀も1兆円の資金を即日 供給した。信用収縮を懸念した日米欧中央銀行の連係プレーだが、誰のための救済なのか、大儀名分は定かではない。信用不安が波及してきたのは「サブプライムローン」の債権を組み込んだヘッジファンドが立ち往生したからだ。高リスク高リータンをねらって国際金融市場をうごき回るヘッジファンドの運用資産は1兆4千億jといわれる。中央銀行の緊急策は回り回ってヘッジファンドの救済につながり、結局は「親の甘茶が毒になる」ヘッジファンドは「痛い目に遭って当然」で、甘やかせば*2性懲りもなくまた同じ手口で金融市場を荒らしまわるにちがいないと、憤慨する声もウォール街には聞こえる。FRBは公定歩合も緊急利下げした。金融危機の処方箋は金利操作背はなく流動性確保という持論のバーナンFRB議長は、心ならずもヘッジファンド救済に手を貸すことになったいま、政策効果はあまり無くても、銀行向けだと鮮明に分かる公定歩合をまず下げて良心の一端を示唆したのかもしれない。
'07.8.24.朝日新聞
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