散歩道<1951>
経済気象台(216)・繁栄の北京、砂上の楼閣
北京オリンピックは2008年8月8日午後8時8分の開幕前まで1年を切っている。8の数字が並ぶのにこだ割るのは、8という数字が繁栄につながる縁起物だからだ。自動車ナンバーでも、8の数字が並んだものはオークションでは高値で取引される。縁起がよく、もうけにつながるものが北京市民に限らず、中国人は好きだ。オリンピックに向け、北京市内は建設ラッシュである。数も規模も日本のビルの比ではない。ワイドレンズ1棟の全景を捕らえようとしても、相当後退しないと入らない。中国経済では固定資本投資の成長率は20%を軽く超える。日本では公共事業がマイナス成長なので、固定資本全体の伸びも微々たるものだから、日本人には彼我の差が特に印象的なのだろう。しかし、率直に言ってこれらの巨大な器を満たすだけの継続的な需要が本当にあるのだろうか。目を道路に向けると、年のころなら40前後の男性が高級車を運転しながら携帯電話ではなしている。個人用高級車の購買層は35歳から45歳の若手のオーナー経営者という。建設ラッシュならではの不動産やその周辺にもうけの種が転がっていて、政府や民間やもろもろのコネで自分に引き寄せる。このサークルに入っているかいないかで所得は雲泥の差となる。50歳以上の文革世代はこのてのサークルに入るのが下手らしい。この年齢層が高級車を買いに来る例は極端に少ないという。実は北京郊外に鳴り物入りで建設され、今は実質的な廃墟となった巨大な建物がある。4年前に開業し、数十の自動車デーラーを集積する予定だった巨大モールだ。自動車販売ブームにかかわらず経営が傾き、今は単なる鉄とガラスの塊である。国務院レベルの開発案件だという。国家の資金が湯水のように使われた残骸の全景を目の当たりにしたとき、近未来の北京の姿とダブル多がした。
'07.8.28朝日新聞