散歩道<1949>

                         経済気象台(214)・香港の近代化

 先日久しぶりに香港に行ってきた。最後に訪問したのは、中国への返還を前に祝賀と不安の空気が交じった複雑な時期であり、街中がどことなく落ち着かなかったのを記憶している。そして今回11年ぶりに訪問した香港。玄関口は、ビルの間を縫うアプローチで有名だった啓徳空港から、98年に開港した近代的な新空港に変わった。空港から市街地へは、エアコン完備の快適な快速列車で30分弱と、前より距離は遠くなったにもかかわらず、渋滞の中、エアコンのないタクシーでアクセスしていた返還前よりはるかに便利で快適であった。さらに香港島には、03年に完成した香港最高層の国際金融センタービルが、特徴的な概観で世界的に有名な中国銀行ビルを従えるようにそびえる。空港があるランタオ島には、05年に世界で5番目のデズニーランドがオープン。街行くヒトたちの服装も、若者を中心に非常にファッシヨウナブルになっていた。ここまでの印象では、香港は中国返還後、ますます欧米化、近代化が進んだかのようだ。一方で、かならずしもそうではない部分もある。例えば、レストランや店舗では、一部の有名店を除いて英語は通じない店員が多く、注文に苦労する。デズニーランドでは、日本などと同様、アトラクションごとに列を作って並ぶわけだが、割り込みが非常に多く、係員が始終大声で注意して並ばせている光景が目に付いた。個人的な印象ながら全体的には、返還前にくらべて、近代化と同時に中国化も進んだような印象を受けた。北京五輪まで1年を切り、中国そのものが真のグローバル化を求められている中、香港はこれからどのように変化していくのであろうか?30度を超える屋外に比べ、ビル内は寒いほどによく冷房が利いていたのはかってのままであったが。

'07.8.21.朝日新聞

関連記事:散歩道<55>最近の上海の自信