散歩道<1948>

                       関西スクエアから視点・政治家に必要な資質(2)         (1)〜(2)続く
                                国民に響く「言語力」を

 歴代首相の国会演説を分析したところ、演説の言葉の文末が変化していることがわかりました。戦中から戦後間もない頃の首相はフォーマルで断定的な「〜であります」を多用しました。池田首相あたりから使用率が下がり、かわって「〜おります」「〜思います」が目立ってきます。
 大きく変わったのが小泉首相の時代です。「〜します」「〜です」が急激に増え、明快で斬新なイメージが感じられます。国会答弁や記者会見でも難しい言葉を使わず、時には反対に質問を投げかけたりして聞き手の情緒に訴え、心理的距離を近づけました。 
 安倍首相は演説では「〜します」を多用しますが、原稿のない国会答弁や取材では、途端に「〜であります」「ございます」。形式的でよそ行きの印象が強くなります。 
 日本的な以心伝心が崩れ、価値観、倫理観が多様になったいま、政治家の言語力の重要性はふえています。明確な個を持って自分の考えを平明な言葉で話し、しかも一方的でなく聞き手の情感に訴える力が求められているのです。
 短いフレーズで国民を引き付ける小泉首相の姿に、政治が「見る」ものになったと嘆く声がありました。国民は見るだけでなく政治家の言葉を聴いています。私たちに課せられているのは、そこから政治を「考える」ものにすることです。政治家の言葉を吟味する力を持つことだと思います。

'07.8.27.朝日新聞・立命館大学教授・東 照二氏 

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