散歩道<1923>
ポリティカ・にっぽん(1)・62年目の夏が逝く (1)〜(4)続く
さきの参院選のさなか、自民党の参院議員の家に取材の電話をした。彼は応援演説に出かけて不在、彼の妻とひとしきり話をした。「私、今度自民党に投票したくない。何だか戦争のにおいがいていやだわ」。争点は年金問題だけではなかった。果たして、安倍自民党は一敗地にまみれた。今回、書いておきたいのは安倍首相の「続投」政局のごたごたのことではない。敗戦から62年のこの夏、「戦後」という時代を支えるのに大きな役割りを果たした人々が次々と逝ってしまった。人はしに、時代は変わっていくとしても、あまりに悲しい夏である。
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劇作家上村一夫は、若い男女の哀切な物語「同棲時代」で一世を風靡した。かれにも一つ「関東平野わが青春漂流記」という名作がある。そこに、一日に逝った作詞家阿久 悠が詩を寄せている。
ぼくらの8月15日は 白い光の夏まつり オンボロラジオを取り囲み 天子様の声をきく 空は真青にはれわたり ジーッと音する あぶら蝉 スイッとかすめる赤とんぼ 子らはほっぺた紅らめる(以下略)
'07.8.20.朝日新聞・本社コラムニスト・早野 透氏