散歩道<1922>
経済気象台(209)・オハマの賢人
現代のファンド・マネーの理想は、「オハマの賢人」と呼ばれるウオーレン・パフェットであろう。長年にわたり様々な企業への投資や買収を行い、大成功を収めてた。その投資方針は、@バークシャー・ヘザウエーという上場会社を使うので投資に回収期限がないA敵対的買収を行わない(敵対的買収の成功率は低い)B優秀な経営者を有しながら株価が割安に放置されている会社を買収する、といったものである。これは、「村上ファンド」に代表される投資ファンドとは対極にある。投資ファンドは透明性を欠く出資者の利益のためのみに行動するので、税務効率や早期の収益最大化を目指す。また、他にステークホールダーはいないとみなすので、社会的存在としてはきわめていびつである。我が国は、バブル崩壊以降、急速に株主資本主義という国際潮流に押し流されてきた。これに対応できず、旧式の経営を行う企業はアクチビストと称される投資ファンドの餌食となっていた。爪に火を灯しながら営々と現金や含み不動産を積み上げてきた企業は突如、大口株主に登場したファンドに現金流出を迫られた。バブル期に積極経営も出来ず、結果的に無傷だった眠れる企業は純投資と称しながら半数近い株を買収したファンドの掣肘(せいちゅう)下にはいってしまった。継続事業体としての企業は、持続的発展という使命を有しており、タカリのような一時株主の圧力に屈することなく、経営力を強化しなければならない。またこれらのファンドは、日本的経営が国際化する過程での火事場泥棒的なあだ花にすぎないので、日本の経営が高度化すれば、不良債権の処理のみが仕事として残る。志のある投資ファンドは、いずれ「オハマの賢人」に学ぶ必要が出てくる。さもなくば、パフェット自身が日本に進出してくる。
'06.5.26.朝日新聞
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