散歩道<1921>
経済気象台(208)・正義感か、義務か
コリーン・ローリーという名前に記憶はないだろうか。それではシエロン・ワトキンスあるいはシンシア・クーパはどうであろうあか。それぞれ米国同時多発テロ、エンロン事件、ワードコム事件に関し内部告発を行った女性である。多くの会社では、コンプライアンス体制確立の一環として、ホットライン、スピークアウト、ヘルプライス等々の名称で、内部通報制度を設けている。そこでは、会社におけるコンプライアンス違反行為につき、あらかじめ定められた通報窓口に通報できること、窓口は適切な改善処置を講ずること、通報者に関し秘密を保持することや不利益な取り扱いを禁止することなどが詳細に定められている。内部通報制度は、社員にとっては自らが所属する会社のコンプライアンス体制へ参加していることを実感できる一つの方法であり、会社にとっては社員のコンプライアンス意識の高揚に資する制度である。しかし、この制度が、十分に活用され、目だった成果が上っているわけではないようである。制度の活性化のためんは、次の2点を解決する必要があろう。多くの内部通報規定を見ると、「通報することができる」と定められている。内部通報自体は別の面からみると自らが属している組織や同僚に対する「裏切り」で、どうしても「密告」の暗いイメージがついまとう。「できる」というのならば「しなくてもいい」「見ないふりをする」とはならないだろうか。だからといって「する義務がある」となると、労働協約や就業規則との関係が気になる。どう折り合いをつければいいのか。また、「通報する」行為自体を何と呼ぶか。英語ではWhistle- Blowing警告を発すること、という。内部通報者に対し後ろ暗い思いをさせない、そして前向きかつ建設的な意味を持つ、何かいい言葉はないだろうか。
'07.8.17.朝日新聞
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備考:本当の意味の企業への貢献的な指摘は資料の収集、タイミング、人の協力、同一の価値観を持つ仲間の存在等必要、何しろ時間と大変な意志の強さが要求される。又、会社側もそれを受け入れる度量が必要だと思います。