散歩道<1919>

                          経済気象台(206)・自己責任か*2

 米国のサブプライムロ−ン*1の不具合で世界の金融市場が揺れている。多額のこげつきで破綻したファァンドは少なくない。金融機関への打撃で信用収縮も懸念され、欧州中央銀行や米FRB,更には日銀を含めての対応が必要となる。驚くべき事はサブプライムロ−ンの仕組み自体に、住宅市場の価格上昇が止まれば多額の不払いが発生するリスクが見えすいていたことである。そういう金融商品の発行額を抑制する配慮もないまま、破綻が表面化した結果、世界中がその火消しに動因された。この事態の波及による被害も「やられ損」の自己責任、と言うのでは理に合わない。経済や金融のグローバル化が必然であるなら、金融商品などのもつリスクがグローバル化することへの目配りや規制も銀行へのBIS規制のようにシビアでなければ均衡を欠く。グローバルな金融のこうしたつまずきの影響を増幅する「ファンド」のありようも問われる。ファンドには動員する資金量や企業に対する支配力において、金融機関よりもはるかに強大なものが少なくない。しかしデスクロージャーや規制に関しては、ほとんど野放しの状態である。元々マネーがもつ人間の力の「拡張作用」は、そのパワーや魅力ゆえに人々を活気づけ、大きく狂わせもしてきた。だからこそマネーを扱う銀行は控えめな黒衣であることを求められてきた。銀行員はどぶねずみの背広を着て間違っても投機的なことはしないと自己表現するのが社会の常識、業界の風土だった。時代は変わったとはいえ、自己規律のないファンドが野放しのまま拡大していくことへの違和感は強まりつつある。ファンドもマネーも、一方では頼りがいのある支えになるが、混乱の引き金や「ハゲタカ」のような攻撃力にもなる。それをよく歯止めしないと更に大きなリスクが表面化することになろう。

'07.8.18.朝日新聞 

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