散歩道<1906>
経済気象台(201)・インフレ感のズレ
このところ、物価の認識について、政府・日銀と。庶民との間に大きなズレが生じている。政府・日銀には消費者物価の下落をもってまたデフレだとの認識がある一方、庶民には実感としてインフレが進んでいるとの認識がある。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」でも最近1年の実感物価上昇率は3.7%となっている。一般には、日本の消費者物価は実体以上に高めに出る傾向があるから、現実的な物価安定としては[1〜2%」程度の上昇を目標とすべきだ、といった議論がある。従って、現在の小幅マイナスの消費者物価上昇率ではまだまだデフレ的だから、引き続き低金利を継続すべきだ、となる。しかし、既に消費者の実感は「インフレ」で、その防御策に関心が寄せられている。これは逆の意味で、消費者物価が現実を反映しておらず、実体と離れて上昇率が低く出ている可能性を示唆している。日本の消費者物価上昇率が世界に比べて低くて出ている理由は二つ考えられる。一つは賃金上昇率が低く抑えられていること。特に大企業が非正規雇用の拡大によって賃金コストを抑えていることが、価格の抑制に寄与している。いま一つが付加価値の増加分を理論上、価格下落とカウントすることで、現実にない指数上の物価下落が生じている。特に大きいのがパソコンやデジタルカメラなど、これらは機能や画素数の高まった新製品が出ると、価格が旧製品と変わらなくても、価格がそれだけ下がったものとして計算する。実際、6月のパソコン価格は店頭では下がっていなくても指数上はノート型が前年比29%,デスクトップ型が20%下落したことになっている。カメラに至っては32%の下落だ。これらが食品やガソリンの値上げを隠す形になっている。物価指数上はデフレでも、店頭ではインフレが目につくようになった。
'07.8.7.朝日新聞