散歩道<1884>
経済気象台(196)・歳出削減の効果検証
参院選を前に様々な争点が浮かびあがってきた。年金記録、政治とカネ、格差、憲法改正などに続いて、最近は消費税引き上げや歳出削減をめぐる論戦が活発化している。自民党は、歳出削減を行っても不足する財源は、いずれ消費税引き上げによって賄う必要があることを示唆している。それに対し民主党は、歳出削減を徹底して行えば、消費税率を上げる必要はないと主張している。どちらの言い分がもっともらしいかは別として、双方に共通するのは、出削減をさらに進めるということである。さらなる歳出削減に賛同する有権者は多いだろう。実際、公共投資を除けば政府支出の削減ペースは緩やかだし(政府支出のGDP比率はこの5年間で24%→22%)官製談合などによって税金が無駄遣いされている事例を上げればきりがない。一方で、lこれまでの歳出削減の効果検証することも必要だ。公共投資の抑制はかなり進んだが、それは人口減やグロバル経済化に直面する地方経済にとって、短期的な苦痛と引き換えに、持続的・自立的発展基盤の形成を促す契機になっているのだろうか。そうでないとすれば、何が足りなかったのか。教育関係支出の削減は、短期的には財政収支改善に寄与したかもしれないが、教員採用抑制(教員1人あたりの生徒数は先進国平均より多い)が、いじめや進路選択、学習能力など、生徒が抱える諸問題への対応を不十分なものにとどめてきた可能性はないのか。また、介護サービス向け支出の抑制はヘルパーの不足や介護事業者の経営困難化など、介護制度のインフラを毀損(きそん)させ、違法事業者を生み出したのではなかったか。限られた財源を有効に使うことの重要性は改めて論じるまでもない。それだからこそ、これまでの歳出削減策の効果を客観的に検証することが必要と思うのだ。
'07.7.13.朝日新聞