散歩道<1883>
経済気象台(195)・雲散霧消する過剰流動性
世界の資金の流れを観察している向きから聞こえてくるのは、1995年が大きな転換点だったという見方だ。その年から米国は積極的に経常収支の赤字を拡大して、経済の高成長を追及しはじめた。日本を始めとする黒字国が、黒字文をそのまま米国に還流する、すなわち赤字の穴埋め資金まで提供して、「強いドル」を支えたからこそ可能だった。米国は赤字をものともせず、海外からせっせと買い物をした。その一方で支払ったお金が米国債などに姿を変えて戻ってくるわけだから、お金がじゃぶじゃぶになった。そして国内だけでは使い切れず、海外にまであふれ出して、世界的な過剰流動性を発生させた。過剰流動性は資金の出し手だけでは完結しない。「借り手」が必要である。米国の家計部門が住宅ローンを大きく拡大させ、その大役を担った。95年以降持ち家比率を高める政策が取られたことも、住宅取得には拍車をかけた。貸し出し基準が緩和されてサブプライムローンが拡大し、信用力の低い借り手まですそ野は広がった。しかし昨年に至り、さすがに住宅は過剰となった。いまや住宅不況の深刻化が不良債権の急増を招き、住宅ローンの増加にブレーキをかけている。そこで、このところは買収ファンドが「借り手」の代役となり、多額の負債を調達してきた。買収ファンドは銀行借り入れで買収を実行する。その後、被買収会社が社債を発行して銀行借り入れを返済し、買収を完了させる。ところがサブプライムローンの問題から、投資家は買収ファンドがらみで負債依存率の高い社債の購入に拒絶反応を示すようになった。負債の増殖機能が凍ってしまった。それどころか、借り手によってはもうかった資産を売却して、借り入れの返済を急ぎ始めている。どうやらあふれたお金は消滅していく循環に入ってしまったらしい。
'07.8.3.朝日新聞
備考:'07.8.9.〜8.11.NHKニュース、朝日新聞でアメリカでのサブプライムローンの問題で、世界的な株安が発生しいることが取り上げられている。