散歩道<1869>
歴史は生きている。問題は分かっていても手打たぬ内閣(2) (1)〜(3)続く
日露戦争の問題は、戦争そのものより、勝った日本で中国に対する優越感があらわになったことです。それまでは中国にある種の敬意を表していたのに、すごく優越感を持つようになった。多くの中国人留学生が来ていましたが、日露戦争で勝利を確定しようかという頃には留学生を弾圧していく。高揚して意識が変わっちゃう。辛亥革命時の志士たちは日本留学組が多いんですが、みんな追い出されています。これを大事にしておいたらねえ。
3番目に挙げた日本の敗北は、アジア諸国には喜ばしいことだったでしょう。大東亜共栄圏といった言葉はスローガンでしかなくて、日本人の心の中にあったとは思えないんですよ。1944年に出た東南アジアの礼儀を教えるという本には「土人」とある。おごり高ぶっていた。
日露戦争後の日本が強国、大国意識になった末が満州事変で、謀略で問題を解決しようとした。日満議定書を読むと、日米安保条約と似ています。日満共同防衛のために満州国内に日本軍隊をいつでも、どこでも、幾らでも駐屯できる、と。完全な傀儡国家でした。
眠れる大国を破った日清戦争は、日本がアジアの盟主たらんと思い始めるきっかけになりましたが、勝海舟は中国はそんな国じゃない、いい気になって小馬鹿にするのは大きな間違いだと盛んにいっていました。ものごとが見える人には、そういうことがまだ見えていた。
'07.7.31.朝日新聞・作家・半藤一利氏
備考:半藤一利氏が選んだ10大出来事とは、日中戦争、日露戦争、太平洋戦争で日本の敗北、満州事変と満州国建設、中華人民共和国の成立、日清戦争と、台湾割譲、朝鮮戦争、朝鮮半島の分断、日本の韓国併合、アヘン戦争
備考:*1韓国では日本による強制的占領(強占)と呼んでいるそうです。
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