散歩道<1860>
参院選の結果を読む(2)・政治の季節の復活 (1)〜(4)続く
若者の思いと自民の歴史的大敗
ナショナリズムの行き先
新自由主義と呼ばれる、格差を否定しない市場主義改革を断行した小泉政権の後、「戦後レジームからの脱却」を掲げて登場した安倍政権の特徴の一つは、ナショナリズムにあると言われていた。先んじて新自由主義改革を経験していた欧州では、市場主義とナショナリズムの組み合わせは「権威主義的市場主義」と呼ばれ、これまでの右派左派に代わる政治的な一極になると考えられている。
だが「美しい国」の理想と苦しくなる一方の現実の矛盾を有権者が感じ取り、自民党にノーを突きつけたことで、この種のナショナリズムはひとまず回避されたといっていいだろう。
ただし格差批判や年金制度不信に注目する限り、ナショナリズムが否定されたとの見方には留保が必要になる。確かに市場主義によって生じる不安へのめくらましとしてのナショナリズムは否定されたかもしれないが、市場主義を拒否し、日本国民の生存を守れというナショナル・ミニマムへの要求はむしろ、右派左派を問わず強まっているからだ。保守主義に基づく排外主義は、歴史的にはそうした要求の中から出てきた。
'07.7.31.朝日新聞 社会学者・鈴木 謙介氏
備考:今回の参議院選の結果に対する、若い人から見た報告を紹介します。