散歩道<1850>
歴史は生きている・東アジア(3)・歴史は勝利者によって描かれる (1)〜(3)続く
敗戦の翌年私は台湾に戻り、中学の教師をしていた。大陸から来た連中が、民衆から物資を摂取する姿に失望した民衆も腹が立ち、闇タバコを摘発した警察に抵抗した。すると報復として、国民党の精鋭が何万人も来て民衆を弾圧した。
台湾でも当時の知識人は左翼化し、私も49年に日本に戻ったが、その前後彼らと接触し、身辺が危険であった。
その後は、南北分断につながる朝鮮戦争、中国での文化大革命と改革・開放政策。今の中国は基本的にケ小平が築いた路線にのったものだ。
最後に冒頭で触れた20世紀初頭の殷墟(いんきょ)の発見の意義を述べたい。我々は殷(いん)の紂王を暴虐無道でこれ以上の悪人はないと史書から学んだ。だが、発掘された甲骨片から彼の先代は人間を殺して祭祀の犠牲にしていたのに、紂(ちゅう)王の代でやめたことがわかった。悪人どころかむしろ善人らしいのだ。史書は後の勝利者によって書かれた。歴史を見る時、常に念頭に置くべきことであろう。
'07.6.25.朝日新聞・作家・陳舜臣(ちんしゅんしん)氏
備考:陳舜臣氏が選んだ10大出来事とは、アヘン戦争、日清・日露戦争、韓国併合、辛亥革命と5・4運動、日本の15年戦争(満州事変から敗戦まで),中華人民共和国の樹立、朝鮮戦争、中国での文化大革命、中国の改革・開放政策、殷墟(殷王朝の遺構)発掘
備考:*1韓国では日本による強制的占領(強占)と呼んでいるそうです。