散歩道<1844>
経済気象台(180)・キーパーソンの育て方
どの職場にもキーパーソンが存在する。キーパーソンとは「職場になくてはならぬ人」のことである。「中小企業白書」(07年版)が職場の人材確保と人材育成、特にキーパーソンについて触れているが、結局のところキーパーソンの育成に特別の方法はないようだ。「白書」によると、企業の側とキーパーソン自身では若干「育成理由が」異なっているが、大切なのは「多様な職務経験」とOJT、そして自己啓発にあるようだ。資質は勿論大事だが資質が磨かれ成長するにはやはり経験が必要だ。設備と債務と雇用という三つの「過剰」を解消した日本の企業の多くは「景気回復」を実感しているが、キーパーソンを中心とした人材の不足が切実である。財務や法務といったスペシャリストはある程度、外部から調達することが出来る。しかしそれぞれの企業の持つ独自性、つまり「他社との差別化」を獲得している「企業文化」を担う人材は自ら育てる以外にないだろう。いわゆる暗黙知(技術や知識が特定の個人に属する)から形式知(マニアル化され多くの人に共有される)*1への転換が進んで、全体の力量が底上げされ、「長期雇用」でなくても担える仕事は増えている。しかしそれは他社との差別化の決め手にはならない。企業の生命力はあくまでキーパーソンの存在に左右される。「いつもある普段の仕事」がさし当たってこなしきれないほどの受注残を抱えているにしても、新しい「案件」や「アイデア」が枯渇したら、危険水域に入っているといってよい。良い時にこそ次を考えるのが経営の要諦だ。当たり前のことだが、自社向けの人材は自分で育てるのが基本である。「即戦力が欲しい」のはよくわかる、しかし、自分を振り返ってみるがよい。「戦力」になるには時間がかかったはずである。キーパーソンは。
'07.7.14.朝日新聞
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