散歩道<1835>

                       経済気象台(174)国家百年の計で

 わが国には国を挙げて取り組むべき課題が幾つもある。特に地方過疎化の進行と人口流出の問題にはなんとしても歯止めをかけなければならない。関連するが、山間部にある杉林などの人工林問題も放置できない課題だ。下流域の住宅地を水害から守るためにも森林の健全な再生産は不可欠である。そして地球温暖化対策。脱化石燃料への取り組みは現在を生きる人間にとっての義務だといっても過言ではない。そういうわが国でもし杉の木から燃料油、バイオエタノールが大量に取れるようになったらどうなるか。植物は育つ際に大気中のCO2を吸収するだから杉の木から創る油は大気中のCO2で作ったのと同じ。燃やして発生するCO2は再び原料となる木々が吸収する。地球温暖化対策にとっての決定打となる。しかも山から杉の木を大量に切り出し、その後に植林をしていくことになれば山村において林業は蘇り、近くにエタノール工場なども建設されれば地方活性化の大きな一助となるだろう。放置林問題も解決する。海外で選考するバイオエタノールは主としてサトウキビやトウモロコシを原料としているが、木材を原料とする製造法も研究されている。特殊な酵母や微生物の開発によりセルロースに含まれる糖分でエタノール製造が可能になるのだという。我が国にあっては国の補助金で廃木材を原料とする取り組みが進められている。もちろん廃木材リサイクルも結構だが、この「木材を原料とするバイオエタノール製造」についてはより大きな視野での取り組みを望みたい。技術的にも異物の混じらない新木材を原料とする方が楽だろう。我が国の恵まれた自然環境で育まれる森林資源、この活用による脱石油の可能性を文字通り国家百年の計で追究して欲しい。我が国民の「ものづくり」DNAが力を発揮するテーマでもある。

'07.4.26.朝日新聞