散歩道<1827>

                        60才の憲法と私・改憲ムード 
                             「国益」はき違えないで

 9・11テロの後、米国の空爆を日本政府が支持した直後から、アフガニスタン国内の対日感情が急速に悪くなるのを感じた。タリバン政権の崩壊と難民の激増を受け、カブールをい中心に約1800dの食料を配給した。残念な事実だが、食料配給に向かうトラックから日の丸を外さなければならない地区もあった。
 アフガニスタンは2000年から顕在化した干ばつに苦しんでいる。相次ぐ戦乱が、農民の難民化に追い討ちをかけた。3月15日、03年から手がけていた用水路13`が完成した。ペシャワール会の日本人スタッフが現地の人々と力を合わせ、手作業が主体の伝統工法で築き上げた。これで約6千fに見zが届く、続いて第2期7`の建設に取りかかる。2年後の完成でさらに約1万fの砂漠を緑化できる。13`分の建築費8億円は、趣旨に賛同した日本のかたがたから寄せられた。これで十数万人の離村を防ぐことができた。水を得て、パキスタンの難民生活から村に帰った農民は「貧しくても、自分で働いて食うことは、難民生活よりも1千倍ましだ」と喜んでいた。日本政府がした「国際貢献」は、旧欧米列強の発想を引きずっているとしか感じられない。かえってアジアで普通に暮らす人々の反感を買った。その資金を真の友好に使えば、一体どれほどのおつりが来るだろう。国益とは何か。「国際社会」や「国際貢献」を語る人々が、実は「国賊」ということもありうる。9条を変えようと言う人は、戦争の実態を知っているのだろうか。だまされてはいけない。200万人もの若者を死にやった戦争から、まだわずか60年しかたっていない。むしろ9条は永遠に変えないことを、この際決議すべきだ。日本人が憲法改正を論議するのは、まだ50年早い。

'07.7.15.朝日新聞・医師ペシャワール会現地代表・中村 哲さん

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