散歩道<1822>
私の視点・久間発言と核政策(1) (1)〜(4)続く
「廃絶も抑止も」から脱せよ
久間防衛相の発言に向けられた批判は、与野党を横断して、すばやく、厳しかった。久間氏の発言は歴史の記述としても正しくないが、事実認識以前のところで、被爆者の苦しみをないがしろにするようなこの発言は、誰からも拒絶された。
久間発言への反発は、「国民的体験としての広島・長崎」が衰えていないことを示している。憲法を擁護する声が弱まったいまも、被爆体験を継承しなければならないという使命感だけは、自民党から共産党まで、党派を超えて日本国民に共有されてきたのである。
だが、問題はその先にある。久間発言を批判するなかで、与野党の政治家は声を合わせるように核廃絶の必要を訴えていたが、それでは核廃絶のために、日本政府はいま、何をしているのだろうか。
確かに日本政府は、1994年以来、国連総会に核兵器廃絶を求める決議案を提出し、可決されていた。だが、アメリカをはじめインド、パキスタン、中国、さらに北朝鮮などの諸国は、この決議案に反対ないし棄権している。核保有国が賛成しない核廃絶決議は、限られた意味しかもたない。
'07.7.5.朝日新聞・東京大教授・藤原帰一氏
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