散歩道<1815>a
                     ステージ・「ニッポンには新エンジンが要る」(1)                (1)〜(4)続く      
                                        
なぜ若者が燃えないのか                   

現状維持モードが学生を覆っている
 「東京は巨大な配電盤である」。作家司馬遼太郎さんの言葉です。日本は全国から人という電流を集め、それを色んな場所に配布してきた。1960年からオリンピック前後まではこれが見事に開花しました。逆にいうと、人材を育成した地方はそれによって又様々な恩恵やリターンを受け、人材を大都市圏に集積するという方法で、活力が沸き、循環が起きていた。
 しかし、例えば現在の東京大学の入学者の大部分は大都市圏出身者になって人材の交流が流動性は次第に硬直化して、かって60年代に成功した配電盤のメカニズムが失われてきている。学生たちは、自分の父や母親と同レベルか少し上ならいいと、現状維持モード担っている。
 しかも、日本では敗者復活や進路の複線化が進んでいないため、結局依然として高度成長のパターンが特定の分野に根強く残っている。だから政治、行政、経済、文化の面では相変わらず現状維持のままです。こういう状況では新しい発想は出にくい、経済学博士シュンペイターの言う「創造的破壊」、つまりブレークスルして、次を目指していく人たちの動機付けが出来ない状態なので社会全体にどうしても閉塞感が漂ってしまう


高度工業社会をどう抜け出していくか
 
日本全体が記号のリーデイングセンターが製造業中心になることは、ある種当然だと思う。基本はエンジリアニングであり、モノを作り出していくための先端的なテクノロジーや技術開発は不可欠ですが、一方ではモノそのものではなく、目に見えない知識や情報、サービスなどの価値を作り出すことが重要だと思います。例えば介護など様々なサービスを組み合わせて、モノを介在せずスキンシップなど目に見えない価値を大切にする情動的なビジネス。緊急サービスや保険など成熟社会に対応した社会的な富を生み出していくビジネス。そういうセクターに新しい優秀な人材が積極的に価値を見いだして仕事を切り開いていく、イギリスのように、製造業では見るべきものがないが、ある程度の豊かさを作り出していけるのは、やはり富を生み出す仕組みがそういうソフトウエアに移行しているからなのです。イギリスやアメリカはいち早くその分野に優秀な若い頭脳をシフトさせ、債権国にふさわしいあり方を確立しようとしています。私は日本には、債権国家としてこのようなもう一つの大きなエンジンが必要だと思います。若い人が燃え尽きる前に飛び込んでいける、ビジネスのフイルドが
'07.5.14.朝日新聞・東京大教授・姜尚中(かんさんじゅん)

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備考:「ニッポンには新エンジンが要る」(1)〜(4)は、文章を自分で纏めたものです。