散歩道<1814>

                  この人この話題・
都市集中(4)選択は二つ、発想の大転換を         (1)〜(4)続く

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 この巨大な文明上の課題に取り組むには、おそらく歴史に例を見ない発想の大転換を必要とする。対策の方法は二つ考えられるが、その一つはこの時流に果敢な抵抗を試みる選択になるだろう。その場合、私たちは生活水準を大幅に下げるとともに、大増税のうえ、その半分を話題の「ふるさと納税」に充てることになるかもしれない。
 もう一つの選択は逆にこの潮流に積極的に乗り、都市集中をより賢明なかたちで推進することである。東京の人口を現在の2倍に増やし、そのほかに10箇所ほどほどの1千万都市を設けて、いわゆる多極集中をめざすのである。建築は徹底した耐震超高層ビルにして、その間に公園、緑地を広く取り、電気バスとモノレールを四通八達させたうえで、自動車の乗り入れを禁止する。幸いポスト工業化で都市には工場を建てる必要がないから、水も電気も十分に補給できるはずである。
 それにしても現代の最大の問題はこのどちらを選ぶかではなく、こうした選択をおこなう制度が民主政治にはないということである。数年ごとに地域単位で選ばれる政治家には、これほど巨視的で長期的な計画を考える余裕はない。ここは一つ、マスコミと非営利組織を頼りに、声を上げ続けるほかはあるまい。参議院選挙をまえにして、やや暗然として思うことである。


'07.7.2.朝日新聞・劇作家・山崎正和氏

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