散歩道<1799>
異見新言・日本の平和主義(4) (1)〜(4)続く
歴史を未来につなぐ政策を
戦争とは多くの人間の尊厳が失われる悲惨な事態のことだ。その後の復興には、絶大な努力が必要となる。なかでも最も難しいのは、人間の心の復興だ。しかし今日われわれが本気で紛争後社会における「平和構築」を支援しようとするのであれば、この人間の「心の復興」の問題を避けて通ることは出来ない。
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平和構築の道筋
広島・長崎は、そして日本は、平和都市あるいは平和国家として、新しい未来を切り開くと言う「平和構築」の道筋を作り出した。これは過去の悲惨な歴史を忘れることなく、しかもなお未来志向の社会を作り出すために導き出された政策ビジヨンの所産であった。それは、政策によって、人々の「心の復興」を支援しようとする試みであった。人が政策を作り、政策が人を作る。日本が今後も平和主義国家のアイデンティティーを維持していくためには、なぜ日本が今日のような和主義国家を築いてきたかを、自ら語ることが出来なければならない。広島・長崎の平和主義は、決して「「恨み」や「諦め」にもとづいて生まれたものではない。それは、もっと積極的なものであり、実は現代世界の地域紛争後の「平和構築」にも大きな意味を持つものでもある。われわれは、自らの暦史が持つ政策的意義について、もっと意識的になるべきではないか。
'07.7.7.・朝日新聞・広島大平和科学研究センター准教授・篠田 英明氏