散歩道<1733>
私の視点・大量定年時代(2)・妻は夫を暖かく迎えて (1)〜(2)続く
定年後もはたらき続けることを希望する人は多い。金銭的理由ではなく、膨大な空白時間の過ごし方が分からないからのようだ。バブル崩壊後、図らずも”就職難民”となった若い人たちに働き口を譲った方が日本の将来のためである。
今後、大量の団塊の世代が家庭に戻ってくる。彼らが居場所を見つけることができずに”居場所難民”として社会に沈殿していては悲劇である。 「ぬれ落ち葉」などと夫を比喩(ひゆ)する妻も居るが、マイホームを構えて子育て出来たのも、もくもくと働き続けた夫のおかげである。子育て卒業後、妻がカルチャーセンターで趣味を育み、気の合う友人とグルメや旅行を満喫できたのも同じこと。
狭い会社内だけに生きて社会性を喪失した夫の”社会復帰”を手助け出来るのは、趣味や社交術などで先行する妻である。艱難辛苦(かんなん)をなめてきた夫の労をねぎらい、温かく家庭に迎えてもらいたい。
気落ちした夫に家事分担を求める妻もいると聞く。優しく手ほどきすれば、料理などの楽しさが趣味に発展し,自信を取り戻す夫も多いだろう。子供たちを頼りに出来ない昨今、老後に頼れるのは夫であり妻なのだ。くしの歯が欠けるようにして知人が少なくなる老後、仲の良い夫婦関係は何物にも代えがたい宝だ。
首相は「美しい日本」をめざすと言うが、家庭が崩壊寸前では話にならない。団塊ジュニアの生涯独身・晩婚化も、親たちが幸せな家庭像を示せなかったことと無関係ではあるまい。家庭崩壊を招く単身赴任や長時間労働を強いる社会を見直すべきだ。
'07.5.8.朝日新聞・ギャラリー経営・小野宗芳氏 