散歩道<1729>
安藤忠雄さんに聞く・大阪に明日はない?(1)・公共心のDNA呼び覚ますときです。 (1)〜(3)続く
・・・「このままでは大阪に明日はない?」・・・大阪を拠点に仕事をする世界的な建築家安藤忠雄さんが3月下旬にあったシンポジュームに掲げたテーマだ。
・・・「このままでは大阪に明日はない」とはまだ随分刺激的ですね。
皆そう思っていますよ。東京や名古屋に比べて景気は芳しくない。有効求人倍率も東京、名古屋に大きく差をつけられています。企業はどんどん逃げていく。カナダ総領事館も3月に撤退した経済的な面のほか、ひったくり、不法駐車など公共心の欠如も目立ちます。
・・・大阪の人は、結構楽しそうに生きているように見えますが。
私が提起しているのは、大阪という街全体の姿、機能、人々の満足感など総合的なことを言っているのです。大阪で生まれ育った私にとって、大阪の現状は歯がゆい限りです。「大阪に明日はある」という人には、逆にどこがいいのか聞きたいですね。
・・・それでも「明日はない」と言われると、反発もあるようです。
「明日はない」という私の言葉には「今こそ立ち上がれ大阪人!」という呼びかけが続くのです。本来、大阪は町人の街で公共心に富む人が住んでいたんです。八百八橋と言われますが、江戸時代に幕府がかけた公儀橋は少なく、淀屋橋をはじめ大半が町人が作った橋でした。明治時代に開館した大阪図書館(現在の府立中ノ島図書館)は住友家が建物を寄付しましたし、大正時代に建てられた大阪中央公会堂は北浜の株式の仲買人の寄付、昭和の始めの大阪城天守閣再建は市民、企業からの巨額の募金で実現しました。最近でも、大阪市北区の落語の定席、天満天神繁昌亭が去年、市民の募金を集めて誕生しました。
'07.6.2.朝日新聞・安藤忠雄様
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備考:安藤忠雄様は2016年東京オリンピック誘致委員の設計総責任者である。