散歩道<1723>

                     アジアの脱亜(2)・欧米との対立概念超えて               (1)〜(3)続く

 ○ ○ 
 まず、参加した約50人の誰一人として、昔ながらの「アジア語り」をしなかった。アジアの一因としてにの日本という人もいなければ、グローバル化に立ち向かうアジアへの呼びかけも聞こえてこない。むしろ、榊原英資氏
(早稲田教授)はアジアを概念として語ることは不毛だと指摘し、趙景達氏(千葉大)は日本がイニシアチブをとるアジアを中国や朝鮮は疑っていた。日本の自画像を投影するような都合のよい「アジア語り」を拒否っすることがこの会合の出発点だった。抵抗勢力としてのアジアを語ることは不毛でも、現実のアジア地域は存在する。それは共通の理念や団結とはほど遠い世界だ。すでに日本がアジアを代表して当たり前という時代は終わり、東アジア共同体構想では主導権を中国と日本が争った。政府だけではない。王敏氏(法政大)は、世論調査を通して日中両国の若年層に広がる相互不信と無関心を指摘した。アジアの実態は国益の対立であり、不寛容なナシヨナリズムの衝突である。つまり、思い込みを投影した架空のアジアではなく、現実のアジアに目を向けるなら、多くの対立をはらんだ地域が浮かび上がる。そこにあるのは、どれも深刻な問題ばかりだ。

'07.5.14.朝日新聞・東京大教授・藤原帰一氏

関連記事:散歩道<788>平和の時代へ(1)・理想主義を超えよう(1)〜(3)、<1155>小泉時代とこれから(1)・外交・安保(1)〜(5)