散歩道<1721>

                    私の視点・スポーツ推薦制(2)・中学生には弊害が大きい            (1)〜(2)続く

 学業から遠ざけられてきたかれらの多くは現役を引退した後に初めて、社会人として要求される基礎学力が自分に欠如していることを痛感する。そして、そのような者を雇えるほどの余裕は今日の日本企業にはないし、業績が悪化した際に真っ先に切られるのは彼らなのである。たしかにスポーツはすばらしい。スポーツを通じて得た友人や自信、誇りは何事にも変えがたい。私自身、名古屋大在学中に全日本大学駅伝に2度出たのでそのことはよくわかっているつもりである。しかし、私が強調したいのは「子供たち自身はスポーツのもつこれらの功罪のバランスを考慮することが出来ない」ということである。スポーツ推薦で進学させるとスポーツ指導者の業績となるし、親の欲目がこれに拍車をかける。しかし、高校総体の優勝者でさえ成人してからも一流の選手であり続けることはまれであり、けがで競技生命を早く絶たれたこともしばしばある。そして残念ながら、日本の社会はスポーツでやすやすと飯が食えるほどには成熟していないのである。したがって、親、教師、コーチらは、子供が社会に出るまでに人生を切り開いていくための手立てをスポーツ以外に持てるよう教育する義務がある。その意味で大人たちの責任はきわめて思い。

'07.5.18.朝日新聞・愛知医科大学准教授(小児心理学)馬場礼三氏