散歩道<1709>

           社説21提言・日本の新戦略(20)-3ソフトパワー・ほっとけない。もったいない。へこたれない     (1)〜(3)続く
              
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 国際社会でソフトパワーの比重が高まりつつあることは、日本にとって追い風と考えていい。強制
(軍事)と競争(経済)に偏らず、共感・共生のソフトパワーを生かす。この流れの中で存在感を見せることが世界のためになり、そのことがまた日本の評価を高めていく。そんな好循環にもっていけるのではないか。英BBCなどの国際世論調査で、日本は世界に「良い影響」を与えている国として2年連続で最高の評価を得た。ただし、中国と韓国だけ日本の「悪い影響」が突出していた。歴史問題のとげが日本のソフトパワーを損なっている。だが実は、中・韓との関係こそ、ソフトパワー戦略が有効なはずだ。もともと日・中・韓は、文化の根っこを共有している。たとえば「徳」の概念は、ソフトパワーの考え方に近い。互いに信義を重んじ、胸を開いて対話する。その積み重ねで共通文化の基盤を確かなものにすれば、東アジアの安定感を高めるだろう。首相の靖国神社参拝が中国や韓国の反日デモにつながり、それを見て日本で反中、反韓の感情が高まる。不毛なナショナリズムの連鎖を終わらせてこそ、日本のソフトパワーも強みを増す。日本に来る留学生は10万人を超え、その1位は中国、2位は韓国だ。観光客も増えている。くるだけでなく、また来たいと思う。あるいは、ずっと住みたいと思う。そんな魅力を放つ日本列島にしなくてはならない。


'07.5.3.朝日新聞

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